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コラムVol.2 理事 川端麗子

· 活動報告,コラム

 

 コレクティブインパクト。それは様々な場所で活躍するセクターや関係者が互いに連携しあい、共同して複雑化する社会課題に取組むための枠組みです。このコラムではIKUNO・多文化ふらっとに関わるそのような多様な人々の「いくのパーク」への想いを届けます。  

 

神戸女子大学健康福祉学部准教授

川端麗子(IKUNO・多文化ふらっと理事)

 

■「多文化共生」を考える

 時代は混沌としています。コロナ禍、自然災害だけでなく人的災害の脅威もすぐ隣にある中に私たちは生きています。日常生活では、生活様式や働き方が変わり、今後に不安感を抱える人も多くいます。生きていくこと、明日のパンを探さないといけない時に「多文化共生」を考えることは難しいことです。

 少し視点を変えて考えてみます。あなたは「どんな社会に生きたいですか」と問われるとなんと答えますか。この質問に「夢の実現にチャレンジできる社会」「家族を幸せにできる社会」「誇りをもって仕事に励むことのできる社会」「安心して生活ができる社会」…と答えてくれた人たちがいます。これらは、ベトナム人の留学生たちに聞いた言葉です。

 もし自分が外国で暮らすことになった時に、このような思いが叶えられないなら、私はその国で暮らしたいとは思えません。

 自分がどんな「社会」に生きたいか、これを考えてみることも「多文化共生」を考えることの一歩になるのではないかと思います。

 

■タブンカキョウセイ、って何?

 私には、2人の娘がいます。 ある日、3歳の上の子が自転車の後ろに乗りながら大きな声で、「タブンカキョウセイ!」と言いました。ふらっとの会議に連れて行った時に覚えたのでしょう。唐突な発言に笑ってしまいました。新しい言葉に興味津々な年ごろ、続けて「タブンカキョウセイって何?」と言うのです。相手は3歳です。私は一瞬言葉に詰まりながら「みんなで仲良くすることだよ」と言いました。

 すると、娘はこう言いました。「へー!楽しいね!」

 そうだよね、「タブンカキョウセイ」って楽しいことなんだよね、人と人がお互いを大切に思い、つながり合うことは「楽しい」と。君たちが生きる社会には、楽しさが溢れている!そう言ってあげたいと思いました。

 

■いくのコーライブズパーク 

 「楽しい」と言えば、ふらっとの立ち上げのかけがえのないメンバーであった方の言葉が思い浮かびます。「楽しくないことはやりたくない!」

 いくのコーライブズパークは、企業である株式会社RETOWNとNPO法人であるふらっとが、共同事業体として小学校跡地を活用し、まちづくりをするという何とも楽しそうな取り組みです。

 生野区に多文化共生のまちづくり拠点ができる。楽しい拠点づくりに多様な人たちと共に携わっていきたいと思います。

 歴史の重みは、何よりもの強みです。歴史的に在日コリアンの人たちを主として多くの外国ルーツ住民が暮らしてきた地です。その経験が活かされることも望まれています。

 

 ■「壁」について

 多文化共生のまちづくりに取り組むためには、多様な人たちとの議論が必要です。議論は社会参画をすることでその土壌が整います。

 しかし、例えば、選挙権の問題から分かるように、外国ルーツの人たちの社会参画にはさまざまな壁があります。私の大好きな人たちは選挙権を持ちません。私もその立場を選ぶことができました。投票場に行く度に、鉛筆が震えるほど、言い様のない気持ちがこみ上げてきます。

 大阪などでも、外国ルーツ住民の選挙権について様々な活動がありますが、一体いつになればこの問題が解決するのでしょうか。あまりにも時間が経ちすぎています。

 制度、仕組みを変えることは難しい、その通りだと思います。それでも長く続いてきた「壁」に対して「生野発」で挑むことを積み重ねることができれば、それは必ず社会への一投石になることと思います。多文化共生のまちづくり活動では、このような種々の「壁」に取り組んでいくことも大切になります。

 

■その人がその人らしく

 「個の時代」という言葉が色々な意味で使われます。自己表現という意味で捉える場合、今の時代、「個」を出すことは、無防備なことでもあり、特にネットなどではいつ攻撃の対象になるかもしれない、という側面があります。

 「外国ルーツがある」ことに誇りをもつことには、社会の側にも多様性の涵養が求められます。私自身も今後、子どもとの対話の中で、深く考える機会に直面することになります。

 私は生野区に住んでいるわけではありませんが、生野区に通いだした20年前からその魅力に引き寄せられてきました。その魅力をあげていくとキリがないのですが、魅力の1つに「イクノへの期待」があります。

 その人がその人らしく、を大切にしている、イクノはそんなまちだということを肌で感じてきたからに他ならないからです。 ふらっとと共に、多様な人たちと共に、イクノをこれからも楽しんでいきたいと思います。

 

 

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