2021年都市再生フォーラム ―歴史・人権を活かした多文化共生のまちづくりーが、11月9日(火)、ホテル日航大阪で開催されました。主催は駐大阪大韓民国総領事館、大阪市立大学都市研究プラザ、NPO法人コリアNGOセンターをはじめ、今年はNPO法人IKUNO・多文化ふらっとも主催に加わりました。同フォーラムには、会場参加とオンライン参加を合わせて180名が参加しました。
主催者挨拶に立った趙成烈・駐大阪大韓民国総領事は、昨年の都市再生フォーラムを振り返り、「日本国内で在日韓国人が最も多く在住している大阪においては、韓日両国民はもちろん、様々な背景を持つ人々にとっても都市再生は共通する課題である」と言及しました。その上で、今年のフォーラムの第2セッションにおいて「生野に位置する御幸森小学校の跡地を運営することになったIKUNO・多文化ふらっとから運営構想について聞き、それに関する建設な意見交換をする時間を設けます」と述べました。さらに「御幸森小学校を地域再生のために有効活用することは大阪市と生野コリアタウンにとって重要な課題であります」と、その意義について語りました。
第1セッションでは、「エスニック地域資源を生かした地域丸ごとミュージアムによるまちづくり」をテーマに、全泓奎・大阪市立大学都市研究プラザ副所長・教授が基調発表を行いました。その後、パネリストとして鄭榮鎭・大阪市立大学都市研究プラザ特任講師、石川久仁子・大阪人間科学大学社会福祉学科准教授、矢野淳士・AKYインクルーシブコミュニティ研究所研究員が報告と討論を行いました。
第2セッションでは、宋悟・IKUNO・多文化ふらっと理事・事務局長が、「御幸森小学校の跡地を活かした『いくのパーク』の挑戦」と題した基調発表を行いました。宋事務局長は、「学校跡地を活用して多文化ふらっとと㈱RETOWNという、NPOと企業が共同事業体をつくり、20年間の長期にわたる多文化共生のまちづくりに挑戦するのは全国的にも極めて珍しいケースではないか」と言及しました。また「多文化共生のまちづくり拠点の構築を通じて、誰もが暮らしやすい全国NO.1のグローバルタウンをつくる」という全体ビジョンを実現していく過程こそが多文化ふらっとの普遍的な存在意義である、と強調しました。
その後、川瀬瑠美・広島文教大学教育学部助手、阿久澤麻里子・大阪市立大学大学院都市経営研究科教授、木村和弘・生野区まちづくりセンター常勤アドバイザーが、各自の専門性を活かした発表と討論を活発に行いました。フォーラム終了後には、趙総領事や林範夫・コリアNGOセンター代表理事をはじめパネリストらとフォーラムの振り返りと意見交換を兼ねた有意義な懇親会を持ちました。今後、それぞれの連携と協力関係を深める貴重な機会となるとともに、御幸森小学校の跡地活用事業への大きな関心と期待を実感した集まりとなりました。深謝。